武荖坑風景區人行橋


武荖坑風景區人行橋
 Wu-lao Keng scenic area footbridge
結構:鋼結構
業主:宜蘭縣政府
建築設計:甘銘源
完工:201112












縁起
 200987日、台湾東部花蓮縣に上陸したモーラック台風(日本名:台風9号)は台湾において観測史上最大の降雨量を記録し、土石流などによって670人を越える死亡者を出した大惨事である。この台風により、同じく台湾東部の宜蘭縣にある武荖坑風景區(自然公園)では武荖坑川を渡る橋が流され、キャンプ場などが水没する被害に襲われた。2010年に宜蘭縣政府はこの橋の再建と景観整備工事のコンペを行い、私は日本の高野ランドスケープと台湾の大蔵建築師事務所(甘銘源建築師)と共に参加してこのコンペに当選した。

歩道橋の構造デザイン
 当初長さ115mの橋の設計からスタートしたのだが、単純に115mの橋を架けると非常に梁せいが大きく、重々しい橋となる。そこで我々設計チームは、どのような形状バランスで橋を架けるのが構造的に合理的であるかという観点から設計を開始した。その結果途中二カ所を着地させて支点間距離80mのアーチトラス橋とすることで、部材上弦材と下弦材にはH-300×300、それ以外ははりせい20cmH形鋼という比較的細い部材とすることが可能となった上、歩道部分のスロープをなだらかにすることが可能となった。




立面図――歩道の高低差は3.3m、支点からの最大高低差は6.8mである

 しかし設計を進めるに連れて、このままではあまりに理知的すぎて、個性が足りないことが心配になりはじめた。そこで手法としては「ピンによる接合部を積極的に見せること」「斜め材の断面を、両端が細く中央で太い変断面とする」という二つを用いて、外観は至ってシンプルながらも、単調すぎず、美しい橋の構造を表現できるようにした。

接合部
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